甲子園にはときとして「小さな大投手」と呼ばれる魅力にあふれた好投手が現れます。今大会では米子松蔭の新里希夢 選手がその名にふさわし投手でしょう。
158㎝ 54㎏ の身体全体から投げ込む球は、球速以上に切れがあります。昨年秋の中国大会では全4試合に先発登板し、2完封を含む3完投の活躍で準優勝の原動力になりました。
新2年生の新里投手は神戸市の出身。どのような球歴の選手なのでしょうか?
新里 希夢 | にいざと・のあ |
生年月日 | 2008年8月15日 (新2年生) |
身長/体重 投打 | 158㎝ 54㎏ 右投げ右打ち |
小学校 | 神戸市立妙法寺小(軟式・妙法寺少年野球部) |
中学校 | 神戸市立横尾中(ヤング湊クラブ) |
故郷 … 兵庫県神戸市の出身

新里選手は神戸市の出身です。
小学校、中学校と地元の市立校に通います。
小学校時代に妙法寺少年野球団で野球を始めました。
中学 … 神戸市立横尾中学(ヤング湊クラブ)
ヤング湊クラブ … 希めば夢叶う
中学に進学すると、地元の「ヤング湊クラブ」で硬式野球を始めました。
クラブのホームページをのぞくと、新里選手の甲子園出場を祝う幕がグランドに。
名前の「希夢」には、「希望を持って育ち、人生での夢をかなえてほしい」との意味が込められているとのことです。

引用:ヤング湊クラブ HPより
米子松蔭・塩塚監督との出会い
中学2年の秋に、クラブの試合に来ていた米子松蔭・塩塚監督の目に留まりました。
「小さい身体を活かして育てる」という指導方針に魅力を感じ、米子松陰に進学することを決意。
米子松蔭での戦績は?
2024年 夏の鳥取大会で逆転負け
米子松蔭は、決勝に進出し甲子園をかけて鳥取城北と戦いました。4-1とリードして迎えた9回裏に一挙4点を奪われ逆転負け。
2024年 秋の中国大会で準優勝
新里選手は夏の無念を晴らすべく秋季大会で特に目立った成績を残しました。
米子北戦では3番先発ピッチャーとして9回を投げ、被安打8、奪三振5、自責点2でスタメン出場しチームの勝利に貢献。さらに、米子東戦では5番として出場し打撃でも結果を残し、安打1、打点1を記録しました。これにより、ピッチャーだけでなくバッターとしての能力も示しました。
2024年 秋の公式戦
鳥取大会 | 2回戦 | 〇 6-2 米子北 | 2失点で完投勝ち |
〃 | 準々決勝 | 〇 10-1 鳥取育英 | 8回コールド |
〃 | 準決勝 | 〇 3-2 米子東 | 6回に逆転し逃げ切る |
〃 | 決勝 | ● 3-4 境 | 新里→佐谷のリレー |
中国大会 | 1回戦 | 〇 8-0 創志学園 | 7回コールドで完封 |
〃 | 準々決勝 | 〇 4-3 盈進 | 延長11回、完投 |
〃 | 準決勝 | 〇 2-0 矢上 | 5安打で完封 |
〃 | 決勝 | ● 3-6 広島商 | 5回に4失点で逆転負け |
中国大会では技巧派投手としての本領を発揮しました。
4試合すべてに先発登板して2完封を含む3試合で完投勝ち。32回1/3 を投げて防御率1.95 でチームの決勝進出に大きく貢献する活躍をみせました。
勝てばセンバツ甲子園への出場が濃厚となる準決勝の矢上との一戦で快投をみせ、5安打で完封勝利。甲子園へ大きく前進となる試合で素晴らし投球を見せました。
かつて甲子園を沸かせた「小さな大投手」
光沢 毅(飯田長姫)… 1954年センバツで優勝
157㎝ 51㎏ の小さな左腕が甲子園を席巻しました
まったく無名の存在だった長野の飯田長姫は初戦で優勝候補筆頭の浪華商(現:大体大浪商)を1-0で破ると、高知商、熊本工と撃破し決勝へ。決勝でも小倉を1-0で完封。光沢投手は4試合を1人で完投し、僅か1失点の3完封で初出場・初優勝の立役者となりました。
田村 隆寿(磐城)… 1971年夏の甲子園で準優勝
165㎝ 62㎏ の右サイドハンドの技巧派は抜群のコントロールを活かした頭脳的なピッチングを展開。
初戦はこの大会で優勝候補No.1と目された東京の日大一を1-0と破ると波にのり、静岡学園、郡山と無失点の進撃で決勝へ。決勝の桐蔭学園戦では7回に初失点し、0-1で優勝には届きませんでしたが、4試合35イニングを僅か1失点の快投をみせました。
松本 稔(前橋)… 1978年センバツで史上初の完全試合を達成
168㎝の群馬からやってきた進学校の小柄な投手が、春夏の甲子園史上で初となる完全試合を達成し、日本中を沸かせました。
前橋の松本投手はコントロール抜群の技巧派。淡々と打者を打ち取りながら比叡山を相手に投球数僅かに78球、奪三振5、外野への打球は3と完璧なピッチングを見せ、それまで幾多の名投手が挑んで果たせなかった甲子園での完全試合という歴史的快挙を成し遂げました。
「ノーサイン野球」が甲子園で見られるか?
監督は元銀行勤務の「脱サラ監督」
チームを指導する塩塚尚人監督は、鹿児島県屈指の進学校・鶴丸から慶応大に進み、鹿児島銀行での勤務の後、「脱サラ」して高校野球の指導者になりました。塩塚監督はエースの新里希夢投手を「小さな巨人」と呼びます。
「ノーサイン野球」
チームは盗塁やエンドランは時にノーサインで、チャンスとみれば選手が自らの判断で仕掛ける野球を展開。塩塚監督は、地元の鹿児島銀行で働いた経験から「自分で考え、行動に責任を取る主体性のあるチーム」を目指してきました。
新里 希夢 選手 まとめ
米子松蔭の「小さな大エース」新里 希夢 選手は神戸市の出身。小柄な身体ですが、野球センス抜群の選手だとわかりました。
新里 希夢 | にいざと・のあ |
生年月日 | 2008年8月15日 |
身長/体重 投打 | 158㎝ 54㎏ 右投げ右打ち |
小学校 | 神戸市立妙法寺小(軟式・妙法寺少年野球部) |
中学校 | 神戸市立横尾中(ヤング湊クラブ) |
米子松蔭は33年ぶり2回目のセンバツ出場。2年生右腕の新里投手が躍進の立役者となりました。
中国大会は全4試合に先発して3完投、七回コールド勝ちを含む2完封。打たせて取る投球術に優れます。
直球は130キロ前後だがキレが良く、カットボール、スライダー、カーブ、チェンジアップと多彩な変化球を操る。「どの球種でも組み立てられる。選択肢は豊富にある」と自信をのぞかせます。甲子園での活躍が楽しみです。

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